世界のECの50%を占める中(zhōng)國のECビジネス市場。新型コロナウイルスのショック以降、インバウンドの売上減少を挽回するために、中(zhōng)國でのECにチャレンジする日本企業が増えています。しかし、競争の激しい中(zhōng)國のEC市場で勝ち殘ることは簡単ではありません。博報堂DYグループのデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)の中(zhōng)國現地法人、北(běi)京迪愛慈広告有限公司(北(běi)京DAC)は、日系企業の中(zhōng)國におけるデジタルビジネスを15年間にわたってサポートしています。その実績をもとに、中(zhōng)國のEC市場の現在や、そこで確実に売り上げを上げる方法をキーパーソンに語ってもらいました。
北(běi)村(cūn) 洋崇
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式會社(DAC) グローバルビジネス本部 グローバルトレーディングデスク部 マネージャー
徐 依娜(ジョ・イダ)
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式會社(DAC) グローバルビジネス本部 グローバルビジネスプランニング部 ストラテジック プランニング エキスパート
兼 北(běi)京迪愛慈広告有限公司(北(běi)京DAC) 総監
- 徐
- 2005年からです。現在は、北(běi)京、上海、広州の3都市にビジネス拠點を構えているほか、深圳には研究開発のラボもあります。北(běi)京DACはこれまで、中(zhōng)國に進出している數多くの日系企業のデジタルマーケティングを支援してきました。博報堂DYグループのマーケティングのノウハウやDACのテクノロジー力を活かして、クライアントの中(zhōng)國市場での成長を支援するのが私たちの仕事です。
- 北(běi)村(cūn)
- ご存知(zhī)のとおり、中(zhōng)國ではBAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)と呼ばれる巨大(dà)プラットフォーマーがデジタルビジネス市場で大(dà)きなシェアをもっています。北(běi)京DACは、中(zhōng)國での15年間にわたるビジネスの中(zhōng)で、この3大(dà)プラットフォーマーとそれぞれ戦略的に提攜しているのが強みの一(yī)つです。
- 2018年にはテンセントと日本企業初の戦略的パートナーシップを結び、今年1月には中(zhōng)國最大(dà)の検索エンジンを運営する百度から6度目の優秀代理店(diàn)に認定されました。また、巨大(dà)ECモール「Tmall」を運営するアリババグループからは、同社のマーケティングサービス「Uni Marketing」のオフィシャルパートナーに認定されています。パートナー認定はこれで3年連続となります。
──「Uni Marketing」とはどのようなサービスなのですか。
- 徐
- アリババが蓄積してきた7億人以上の生(shēng)活者のデータを一(yī)つのIDに統合し、それをマーケティングに活用できるサービスです。アリババが展開するEC、メディア、決済サービスなどに紐づいたデータなので、単にデータ量が多いだけでなく、決済情報、居住地、消費行動、趣味・嗜好などを含む非常に精度が高いデータです。
- 北(běi)村(cūn)
- 7億人以上のユーザーがいるTaobaoTmallで蓄積したユーザーの購買データ及びアリババグループが保有するデジタルメディア上の行動データもとにユーザーを分(fēn)析し、セグメントを作成、モール内外(wài)の広告リソースを活用してユーザーに様々なアプローチができるサービスです。このほかに、「Databank」「Brand Hub」「Uni Desk」といったツールがあります。「Databank」は、アリババのECモール内で蓄積した特定ブランドに対するユーザーのデータを可視化したプラットフォーム、「Brand Hub」は、そのデータをもとにCRMができるツール、そして「Uni Desk」は、アリババのモール外(wài)に広告を配信し、新規顧客獲得を狙うことができるツールです。
──日本企業がそのオフィシャルパートナーになるのは珍しいのでしょうか。
- 徐
- 日系企業のオフィシャルパートナーは、私たちを含めて數社だけです。私たちの15年間の中(zhōng)國市場での実績、マーケティングプランニング力、広告の運用力などを評価していただいているようです。
- 北(běi)村(cūn)
- 一(yī)つは、Tmallに出店(diàn)している企業の売上向上への寄與です。例えば、「Databank」に蓄積したデータと外(wài)部データを組み合わせて顧客分(fēn)析を行い、売り上げが伸びていない原因を探り、プロモーションの戦略を立て直すといった支援をすることができます。
- 仮にターゲット層にずれがあることがわかった場合は、新しい層をターゲットに設定し、そこに向けてメッセージを発信することが必要です。その際に力を発揮するのが「Uni Desk」です。このツールを使うことによって、外(wài)部のメディアに確度の高い広告を配信し、新しい見込み顧客をTmallに誘引するといった展開が可能になります。
- 徐
- もう一(yī)つ、これから中(zhōng)國のEC市場にチャレンジしようとしている企業を支援することも可能です。事業のプランニングのお手伝いをし、フルフィルメントのパートナーをご紹介し、さらに「Uni Marketing」を活用して広告展開やCRMの仕組みをつくる──。そんなワンストップのサポートを提供することができます。
- 北(běi)村(cūn)
- ECビジネス支援は、販売戦略に集中(zhōng)するケースが少なくありません。しかし私たちは、事業計畫から、認知(zhī)獲得、売上向上までの全プロセスのプランニングと改善の支援が可能です。中(zhōng)國において、そこまでのサポートを日系企業に提供できるプレーヤーはほとんどいないと思います。
- 徐
- 顧客分(fēn)析、トータルな販売戦略とEC戦略の支援、PDCAといったトータルな機能があるのが北(běi)京DACの強みです。そのような方法論とマーケティングツールの組み合わせによって、クライアントの中(zhōng)國でのビジネスの成長を確実に支援していけると考えています。
- 北(běi)村(cūn)
- 一(yī)時ほどの伸びはありませんが、拡大(dà)は着実に続いています。とくに2020年のコロナショック以降は、中(zhōng)國でもこれまで以上のスピードでデジタルシフトが進み、EC市場もかなりの活況となっています。
- 徐
- とくに大(dà)きく伸びている業種は、女性向けファッション、アクセサリー、化粧品などですね。
──中(zhōng)國で新たにECビジネスを始める日本企業は増えているのでしょうか。
- 北(běi)村(cūn)
- 中(zhōng)國のEC市場への日系企業進出の最初のピークは2015年頃です。當時、日本國内でインバウンド需要が爆発的に増大(dà)し、その流れで越境ECにチャレンジする企業が増えました。
- その後も日系企業の進出は続きましたが、昨年のコロナショックによってフェーズが変わったと感じています。今回は2015年とは逆に、インバウンドの売上が激減したことを受けて、越境ECで売上を挽回しようとする動きが目立っています。
──中(zhōng)國では、11月11日を「獨身の日=Wイレブン」としてECで大(dà)規模なセールを行うのが毎年の慣例になっていますよね。2020年はアリババグループが1日で15億5000萬円を売り上げたというニュースが伝わってきました。
- 北(běi)村(cūn)
- ECモールも、出店(diàn)している企業も、1年の売上のピークをWイレブンに持っていく戦略を立てています。中(zhōng)には、年間の総売上の7割をこの1日で上げるブランドもあります。とくに2020年は、日本のブランドの売上が伸びたようですね。
- 徐
- Wイレブンの売上は年々伸びていて、2020年は前年比で約40%増加しています。そのうちの6割くらいがアリババのTmallでの売上です。日系企業が「Uni Marketing」を活用してTmallでの売上を徐々に伸ばし、Wイレブンでの大(dà)きな売上につなげる──。そんな戦略も可能だと思います。
- 北(běi)村(cūn)
- 中(zhōng)國は13億の人口を抱える巨大(dà)市場であり、人々の生(shēng)活水準も向上しています。また、購買行動のデジタルシフトが日本よりも格段に進んでいます。そう考えれば、EC市場のポテンシャルは非常に大(dà)きいと言っていいと思います。ブランドが中(zhōng)國の生(shēng)活者の支持を集めれば、日本國内とは桁が違う売上を上げられる。大(dà)いに可能性のある市場と言っていいのではないでしょうか。
- 徐
- 中(zhōng)國のECの市場規模は、年間200兆円近くあります。これは、世界のEC市場の50%を占める規模で、アメリカの3~4倍です。市場は飽和狀態にあるという見方もありますが、この數年の伸びを見る限り、まだまだ成長すると考えられます。
- 北(běi)村(cūn)
- EC市場が成長を続けているということは、事業者間の競争が極めて激しいということでもあります。中(zhōng)國市場を深く理解し、適切な事業プランニングをしなければ、中(zhōng)國のEC市場で勝ち殘ることは難しいと思います。私たちDACと北(běi)京DACは、中(zhōng)國におけるこの15年間の実績やプラットフォーマーとの密接な関係を活かして、厳しい市場でビジネスを進める日系企業の力強いパートナーとなりたいと考えています。
- 徐
- 私たちが目指しているのは、マーケティングや広告だけでなく、ECビジネス戦略の全體(tǐ)を支援することです。中(zhōng)國のEC市場は、コロナショックで売上を落としている企業にとって、ビジネスの挽回を期待できる場でもあります。そのようなチャレンジをこれからも全力でサポートしていきたいです。